今週のお題

連休最後の夜,珍しく,今週のお題で書いてみたいと思います.

地方都市,と呼ばれる京都に暮らす私は,実際,都会人なのか田舎人なのかよくわかりません.ただ,結論からいえば,どちらかといえば,おそらくマインドは「田舎」志向なんだと思います.

実際,京都の暮らしは都市の暮らしとは程遠い部分があります.都心とは違うもの・・・それは,モノの充実度や生活の便利さではない,おそらく,何かもっと別のものです.京都の場合は,ひょっとしたら,人の暮らしとか,地域での付き合い方とか,季節にあわせた行事とか,お金の使い方に対する価値観とか,そんな,目にみえない文化的なものが,都会とは違う何かを産み出しているような気がします.

実際,京都の人々はそこで子供を育て,仕事を持ち,その人の子供が産まれて,そこで育って,という,世代を超えるレベルの時間的な循環の中に生きていて,その循環を遮るような大きな変化が世代間に生じません.特に,私が暮らす西陣という街では,伝統産業(西陣織)と何らかのかかわりがある仕事を生業として暮らしている人が多く,土地と暮らしと仕事が一体で世代間で引き継がれてゆくので,引っ越さないし,親と同じ仕事に就く人の割合もとても高いと思います.街の人々の顔ぶれも,何世代にわたって変わりません.だから,代々,土地と家と仕事が引き継がれて,その相互作用でビジネスが土地と密接につながるかたちで進展してゆきます.ビジネスの相手も変わらず,何もかもがかわらないカルチャーの中で時間が流れていくのです.

逆に,都会は,次々にビジネスに携わる人が変わり,仕事も変わり,街に暮らす人の出入りも激しいので,京都に息づく「継続性」みたいなものは感じられない,というか,意識されること自体がないのではないかと思います.どちらが良い,悪い,ということではないのですが,このように京都も都会化されてくると,かえって京のこうした「変わらない人と暮らしと文化」みたいなものが大切なもののように思えてきます.